米ホテルチェーン大手マリオット・インターナショナルの予約システムから最大約5億人分にのぼる顧客情報が盗まれた問題で、ロイター通信は6日、不正アクセスが中国の諜報(ちょうほう)活動と関係している可能性があると報じた。中国企業幹部の逮捕で米中関係の緊張が高まるなか、さらなる火種となるおそれがある。
複数の調査関係者の話としてロイターが伝えたところによると、マリオットの顧客データベースに不正アクセスした手口などが、過去の中国のハッカーによる犯行と共通していた。不正アクセスは金銭的な利益が目的ではなく、中国のスパイ活動のためだった疑いが浮上しているという。
ただ、複数のハッキング集団が同時に関与したとも疑われており、中国以外の背後関係が存在する可能性もあるとしている。
マリオットが情報流出を発表したのは11月30日。2016年に傘下に収めた同業大手スターウッド・ホテルズ&リゾーツ・ワールドワイドの予約データベースに、14年から不正アクセスがあったとした。
住所や電話番号、パスポート番号、生年月日などが流出し、クレジットカード情報が漏れた顧客もいた。スターウッドは世界中で「シェラトン」「ウェスティン」「ル・メリディアン」「W」などのホテルを運営する。
個人情報の大量流出では、2013年に米ヤフーの約30億アカウント分が漏れたのが過去最大で、今回はこれに次ぐ規模となる。(ニューヨーク=江渕崇)