タブレット端末を使った質疑が4月26日の衆院内閣委員会で行われた。衆参両院によると、国会の歴史の中で、タブレットを使った答弁や質問は初めてだった。
国会のペーパーレス化の一環。タブレットの利用は内閣委理事会で与野党が合意した。ただ、認めたのは、行政手続きをパソコンやスマートフォンでできるようにする「デジタル手続き法案」を議題としたこの日の審議限定。しかも、通信機能の利用は、外部から質疑内容の指示を防ぐためとして禁止した。
行政電子化の旗振り役である平井卓也IT担当相はこの日の内閣委で、タブレットに表示させた資料を見ながら法案内容を説明し、「事務方のコピーの枚数が相当減ったのかなと思う」と発言。同じくタブレットを手にした自民党の牧島かれん氏は「画期的な審議」と評価した。
一方、課題を指摘する意見も出た。国民民主党の浅野哲氏は「複数の資料を(画面上で)素早く切り替えようとすると慣れが必要だ」と述べた。
画面の小ささに不満を漏らしたのは公明党の岡本三成氏。「昨日イメージトレーニングをしたが(画面の)視野角が狭すぎて質問しづらい。質問者にはあんまりメリットがない」と指摘。従来通り紙の資料を手に質問を始めた。
岡本氏は、一方で「クイズ質問が出た時や質疑通告がされていない時でも、事務方がデータを渡し、事実を元に大臣が答えられる」として、政府側に限りネット接続を認めるべきだと訴えた。
牧原秀樹内閣委員長(自民党)は委員会終了後、タブレットを活用した議事進行について「便利だった。小さな一歩かもしれないが、私たちにとっては大きな一歩だ。国会審議のIT化やペーパーレス化が進んでほしい」と取材に語った。
だが、衆参両院によると今後の国会審議でタブレットを利用する予定は今のところないという。(板橋洋佳)