大手予備校の模擬試験で、日本大と東京医科大の志望者が大幅に減っている。不祥事が大学のイメージを落とし、志望者離れにつながっているようだ。
日大は、5月にアメリカンフットボール部員の悪質タックル問題が発覚し、理事長や学長の対応も問題視された。河合塾によると、10月28日に実施した模試では、志望者が前年の同じ時期の74%。7月29日の模試でも前年比81%だったが、さらに悪化した。
大規模私立大は現在、文部科学省から入学定員の厳格管理を求められ、合格者を絞る傾向にある。このため、「早慶上理(早稲田、慶応、上智、東京理科)」や「MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)」などの上位校は志望者が減り、「日東駒専(日本、東洋、駒沢、専修)」などの中堅校は増えると見込まれていた。実際、河合塾の模試では東洋、駒沢、専修の各大学は志望者が増えており、日大の減少が際立つ。
東京医科大は7月に入試で文科省幹部の子どもを有利に取りはからっていたことが、8月には女子や浪人回数の多い受験生を不利に扱っていたことが発覚。河合塾の7月の模試で医学部医学科の志望者は前年比132%だったが、10月は85%まで減った。
駿台予備学校がベネッセと11月4日に共同実施した大規模模試でも、前年の志望者数と比べ、日大は72%、東京医科大の医学科は73%だった。駿台教育研究所の石原賢一部長は「不祥事を起こした大学を避け、他大学に行きたいと考える受験生が多いようだ。ただ本番では、そうした余裕がなくなる受験生も多い。最終的に減少幅は縮まるのではないか」とみる。(増谷文生)