知的障害がある男性(25)が、誤った障害程度の判断をもとに障害基礎年金を不支給としたのは不当だとして、国に処分取り消しを求めた訴訟の判決が14日、東京地裁であった。朝倉佳秀裁判長は処分を取り消し、今後の年金を支給するとともに、過去5年分の年金(年約78万円)を支払うよう国に命じた。
判決によると、原告は中度の知的障害がある埼玉県の男性。2013年に東京の民間企業に採用され、清掃などの作業で月7万~9万円程度の収入を得ていた。同年に障害基礎年金を請求したが、14年1月に不支給処分を受けた。
厚生労働省の政令では、知的障害者への障害基礎年金について、日常生活能力をもとに支給の可否や支給額を判断すると定めている。判決は「男性は会社や母親の手厚い援助や配慮の下で就労できているに過ぎず、作業内容も単純なもの」と指摘。男性は障害等級2級に該当し、支給対象になるとした。厚生労働省の担当者は「判決内容を確認中でコメントできない」としている。