米中首脳会談で先送りが決まった米国による対中制裁関税の税率引き上げについて、米通商代表部は17日までに、米中交渉で合意に至らない場合の引き上げ実施日を来年の「3月2日」と公示した。知的財産の侵害問題などで中国側の譲歩が不十分と判断した場合、「関税合戦」を再開させる姿勢を改めて示した。
米政権は中国の知財侵害などを理由に、制裁関税の「第3弾」として9月から2千億ドル(約23兆円)分の輸入品に10%の関税を上乗せした。さらに、来年1月からはこの税率を25%に引き上げる予定だった。ただ、トランプ米大統領と中国の習近平(シーチンピン)国家主席は12月1日の首脳会談で、90日間の期限を設けて交渉を続け、その間は税率引き上げを見送ることで合意した。
首脳会談を踏まえ、中国は米国からの輸入車への関税上乗せを来年1月から一時停止するなどで対応。だが、通商協議の争点は、中国側が不正な知財侵害で技術・軍事覇権を奪おうとしているという米側の懸念にある。カナダで逮捕された中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の幹部をめぐる対立も絡み、短期間での決着は難しいとの見方も根強い。(ワシントン=青山直篤)