イモの茎を乾燥させて編み上げた「肥後ずいき」と呼ばれるアダルトグッズがある。江戸時代の春画にその原型が描かれており、産地の熊本ではかつて土産物店にも並べられたが、時代の流れと共に姿を消しつつある。それでも父と娘の二人三脚で作り続ける業者がいる。
阿蘇山に近い熊本県菊陽町。田畑が広がる県道沿いに「ひごや」の看板を掲げた平屋の建物がある。肥後ずいきの職人、簑田稔さん(67)の作業場だ。
材料は、地元で「トイモ」と呼ばれるハスイモの一種。実ではなく、茎をきんぴらや煮びたしにして食べる。その茎を「企業秘密」(簑田さん)という独自の製法で酸化を防ぎながら乾燥させ、木綿糸で縛って「こけし型」や「リング型」に編んでいく。さわるとスポンジのように柔らかく、弾力がある。
いつ、どのように誕生したのか…