日本銀行は20日の金融政策決定会合で、大規模な金融緩和策の「現状維持」を決めた。長期金利の誘導目標は「ゼロ%程度」、金融機関から預かるお金の一部につけるマイナス金利は年0・1%で据え置く。米中貿易摩擦で景気減速懸念が高まるなか、緩和継続で経済を下支えする。
長短金利操作と、当面は現在の超低金利を維持するとした「フォワードガイダンス(先行きの指針)」については、政策委員9人(総裁、副総裁2人、審議委員6人)のうち7人の賛成多数で現状維持を決めた。原田泰、片岡剛士の審議委員2氏は反対した。
日銀の12月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、代表的な指標の大企業・製造業の業況判断指数(DI)が4四半期ぶりに下げ止まったが、米中貿易摩擦の悪影響が機械関連業種などに出た。米中摩擦は中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)幹部の逮捕などで深刻さを増している。欧米でもイタリアの政府債務問題や英国の欧州連合(EU)離脱問題が続き、世界的に株価は下落基調だ。
こうした状況を背景に、日銀は現在の緩和策を継続する必要があると判断した模様だ。20日午後の会見で黒田東彦(はるひこ)総裁が決定内容や背景を説明する。(和気真也)