品質は有名ブランドと同等、価格は半分以下――。有名ブランドの下請けを長く続けてきて、苦境に陥った大阪の老舗婦人靴メーカーが工場と消費者を直接つなぐ通販サイトで再起を目指している。不況続きでメーカーの数がどんどん減るなか、顧客との距離を縮めることに生き残りの道を見いだしている。
大阪市浪速区。通天閣を望むビル街の一角にある社員18人の「インターナショナルシューズ」。5階建ての社屋の中では革にかたをつけたり、靴底に釘を打ち込んだりするハンマーのつち音が響いていた。
1954年の創業以来、有名ブランドのブーツやパンプスのOEM(相手先ブランドでの生産)を手がけてきた。安定した受注がある代わりに、利幅が抑えられるビジネスだ。しかし、百貨店業界の不振のあおりを受け、最大の取引先だった卸会社が2016年に倒産。売上高が最盛期の半分にまで減った。
「このままでは沈んでいくだけ」。社長の息子で営業部長を務める営業部長の上田誠一郎さんが決意したのが、「脱下請け」への着手だった。
下請けで培ってきた技術をもと…