経団連は19日、来年の春闘に向けた指針に、安倍政権からの賃上げ要請にかかわる記述を盛り込まない方針を固めた。賃上げそのものには前向きだが、政権の要請に応じる形での「官製春闘」を脱する姿勢を鮮明にする。
この日開いた経営労働政策特別委員会で正副会長らが話し合い、1月に発表する予定の春闘指針「経労委報告」に、政権からの賃上げ要請を盛り込まない方針を決めた。指針では、賃金は労使間で決める、という原則を強調。「官製春闘という言葉は実態を表していない」との文言も入れる方向だ。
会長の中西宏明氏(日立製作所会長)は10月、菅義偉官房長官と懇談し、賃上げの要請を受けていた。安倍晋三首相からの表立った要請はまだないが、仮に今後あっても指針に入れない方針だ。
春闘に先立って政権が賃上げを…