鹿児島県湧水町轟地区二渡の冬の恒例行事「星のさんぽ道」が道行く人を楽しませている。約15万球の電球やLEDで約1・5キロの夜道がきらびやかな光に照らされる。シーズン中、約3万人が押しかけるほどの冬の風物詩になったが、周辺道路が大渋滞するため、今回を最後に幕をおろす。
実行委会長の上段(うえだん)良二さん(69)によると、34年ほど前、近くの轟小学校で剣道などを習う子どもたちが暗い夜道を帰宅するのを心配し、安全に楽しく帰宅できるようにと玄関前にイルミネーションをつけたのが始まり。
次第に賛同者の輪が広がり、二渡自治会有志でつくる実行委が主催する催しに。「星のさんぽ道」のネーミングは、星を見上げるように、イルミネーションを見ながら散歩してほしい、という願いが込められている。
轟地区は、湧水町から伊佐市に抜ける国道268号から少し入ったところ。毎年暮れのこの時期、近くの住民らが自発的に道路に面した自宅の庭などを思い思いに電球などで飾る。
だが催しの知名度が広がるとともに、車の渋滞が増え、特にクリスマスの時期に大渋滞を引き起こすようになった。近くに約70台分の駐車場があるが、とても足りないという。
上段さんは「イルミネーションで照らされる道路は住民の生活道路。ふだんは車で5、6分で自宅まで帰れるのに、渋滞で1時間かかったこともあった」という。
「ザ・ファイナル」の副題を付けた今回は今月1日に点灯式を開催。来年1月7日まで、午後5時半~10時に毎日点灯する。
上段さんは「子どものために始めたのが、こんなに人気が出るとは思わなかった。本当はやめたくない。来場者が多いのはうれしいが、渋滞で住民が困っているのも事実。苦渋の決断だった」と残念がった。(大久保忠夫)