第98回全国高校ラグビー大会が27日に大阪・花園ラグビー場で開幕する。聖光学院(福島)は、夏の甲子園に12年連続出場、8強の経験もある野球部が有名だが、ラグビー部は初出場。競技未経験の監督が地域で始めた普及活動が実ってつかんだ全国の舞台だ。
ラグビーワールドカップ2019
ラグビー部は創部52年目。佐藤忠洋監督(44)が指導を始めた2002年当時を「部員は1チーム(15人)をつくれる程度。部を絶やさないことが目標だった」と振り返る。認知度は低く、新入生を勧誘してもなかなか集まらなかった。
10年ほど前から学校がある伊達市と隣の桑折(こおり)町の小学校で腰に下げたヒモを取り合うタグラグビーの教室を始めた。「相手をかわして走るのは鬼ごっこの要素で楽しめる」。子どもたちの様子がヒントになり、体は小さくてもスペースに走り込む力があれば強くなれると気付いた。そのために走力だけでなく、パスの正確性の重要さも説いた。
34人に増えた部員の半数近くが教室に参加したことがある。渡辺和輝(2年)は、サッカーの体力作りで小学4年から3年間通った。高校では部活動をやらないつもりだったが、何か目標をと浮かんだのがラグビーだ。「あの時やらなかったら花園に行けなかった」。1回戦は28日、城東(徳島)と顔を合わせる。夢の舞台での1勝が目標だ。(大坂尚子)