ラグビーのトップリーグ(朝日新聞社後援)の総合順位決定トーナメント決勝を兼ねた第56回日本選手権決勝が15日にあり、神戸製鋼がサントリーを55―5で破って18季ぶり10度目の日本一に輝いた。トップリーグでは初年度以来、15季ぶり2度目の優勝。16日にはトップリーグの年間表彰式が開かれ、最優秀選手(MVP)に神戸製鋼のSOダン・カーター(36)が選ばれた。
神戸製鋼、18季ぶり10度目V ラグビー日本選手権
ラグビーワールドカップ2019
◇
円陣で腕を突き上げ、栄冠を喜んだ。「これまでチームを支えてきた全ての人の優勝だ」。15日の日本選手権決勝は、司令塔として55得点の大勝をもたらした。
2015年ワールドカップ(W杯)でニュージーランドを2連覇に導き、代表での通算1598得点は世界最多。国際統括団体「ワールドラグビー」の年間最優秀選手に3度輝いた。日本でのお披露目となった9月の試合では、パスを受けただけでファンが沸いた。
笑顔を絶やさぬナイスガイ。「36歳の僕はラグビー界では、おじいちゃん」とおどける。トークイベント後はスタッフが駆け寄る前に座った椅子を片付け、サインは周囲が制止するまでやめない。
世界最強の通称・オールブラックスで学んできたのは「謙虚と感謝」。人口500万人足らずの小国の象徴だ。「恩返しを」と、母国とラグビーの素晴らしさを世界に伝えることが、W杯を来年に控える日本に来た理由だ。
人口700人ほどの田舎町で生まれ、原点は父が畑をつぶしてつくったグラウンド。楽しいだけの競技が、名声を得るとプレッシャーとの戦いに。気付いたのはラグビー以外のものの大切さだった。
妻や息子との時間、海で楽しむレジャーで全てを忘れる。誰よりも練習熱心だが「働き続けるだけでは質は上がらない」。ラグビーを楽しむコツを知っている。(有田憲一)