運転士は何も操作していないのに、駅が近づくと電車は自動的に減速し、ぴたりとホームに止まった――。終電後のJR山手線を使って7日未明、出発から停車までを自動制御する「自動列車運転装置(ATO)」の走行実験が報道公開された。JR東日本は人手不足などに対応するため、将来的に無人運転の実現をめざす考えだ。
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山手線では現在、「自動列車制御装置(ATC)」や「定位置停止装置(TASC)」によって制限速度でブレーキをかけたり、ホームの停止位置に止まったりすることは自動化されている。だが、加減速などは運転士による手動だ。
JR東日本は今回、運転士が出発時にボタンを押すだけで次の駅に停車するまで自動運転できる開発中のATOを山手線の新型車両「E235系」に搭載、昨年12月29日の営業運転終了後から走行実験をスタートさせた。
7日は実験3日目。午前1時50分ごろから外回り線を2周し、ダイヤ通りの運行と遅れを回復する場合の2種類の走行パターンを想定しながら、加減速の制御や乗り心地をチェックした。運転士は非常時に備えてブレーキ近くに手を添えながらも、実際の操作は出発時にボタンを1度押しただけだった。
もともと鉄道の自動運転技術は約半世紀の歴史があり、高架を走る新交通システムの「ゆりかもめ」(東京都)や「リニモ」(愛知県)などはすでに無人運転化されているが、山手線など地上の線路を走る鉄道は踏切やホームなどで起こるアクシデントへの対応が課題とされてきた。
だが、JR東日本は2018年…