昨年11月19日の逮捕から51日目の8日、日産自動車の前会長カルロス・ゴーン容疑者(64)が公開の法廷に姿を見せた。厳重な警備態勢が敷かれる中、「公明正大」「合法的」と容疑を強く否定した。
カルロス・ゴーン もたらした光と影
ゴーン前会長、無罪主張 日産には「親愛と感謝」
ゴーン前会長は午前10時半、腰縄と手錠をされた姿で東京地裁425号法廷に入った。口を一文字に結んで傍聴席を見渡し、弁護人の前の席に腰を下ろした。紺色のスーツに白いワイシャツ姿だったが、ネクタイは自殺防止で着用が許されておらず、足元も逃走を防ぐために青いサンダルだ。親族によると昨年11月19日の最初の逮捕後、10キロほどやせたといい、頰(ほお)がこけていた。
多田裕一裁判官から名前を聞かれると「カルロス・ゴーン・ビシャラ」と答え、「職業は会社役員で間違いないですか?」と問われると、英語で「Yes(はい)」と述べた。
多田裁判官は会社法違反(特別背任)の容疑事実を読み上げ、「本件証拠を見て、容疑について疑うに足りる相当な理由が認められた」と指摘。そのうえで、勾留理由として、「関係者に接触し、罪証隠滅をするに足る相当な理由がある」「日本国外にも居住拠点があり、逃亡の恐れがある」の2点を挙げた。
通訳を通じて説明を聞いていたゴーン前会長が表情を崩すことはなかった。続いて始まった意見陳述では用意していた文書を、はっきりと、やや早口で読み上げた。
「日産には心からの親愛と感謝…