政府は9日、米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の移転候補地となっている鹿児島県西之表市の馬毛(まげ)島について、160億円で購入することで地権者と合意した。政府による当初の土地評価額に100億円以上も上積みし、難航していた価格交渉で折り合いがついた。ただ、地元は訓練移転の受け入れに慎重姿勢を示している。
複数の政権幹部が明らかにした。今春にも正式契約となる見通しだ。購入金額が膨らんだことで、通常国会では野党から追及を受けることになりそうだ。
無人島の馬毛島は種子島の西約12キロにあり、約8平方キロ。島の99%の土地は開発会社「タストン・エアポート」(東京都)が所有、一部は市有地となっている。FCLPは、空母艦載機が陸上の滑走路を空母の飛行甲板に見立てて離着陸を繰り返す騒音を伴う訓練。現在は硫黄島(東京都)で行っているが、2011年日米合意で、硫黄島の代替地として馬毛島を明記していた。
防衛省は当初、土地の評価額として約45億円を提示したが、タストン社は400億円超を求めて交渉は難航。米側が硫黄島より近い訓練地の早期整備を求めたこともあり、政府は土地の評価額に加え、タストン社が島に整備した滑走路や関連施設なども評価額に加算し、160億円まで価格を引き上げて合意に達した。
政府は移転準備を加速させる考えだが、西之表市の八板俊輔市長は9日に「FCLPよりふさわしい活用方法がある」とのコメントを発表。政府と市との調整が続くことになる。(岡村夏樹、太田成美)