157日間休みなしで働いてうつ病になったのに、労働基準監督署が決めた休業補償額が労働実態に見合っていないとして、ガソリンスタンド(GS)元店員の男性(49)が国を相手取り決定取り消しを求めて大阪地裁に提訴した。GS側が男性を2社の労働契約に分けて働かせていたのに、補償額が1社分の収入しか反映されないのは不当だとしている。
訴状によると、男性は2013年3月から大阪市と大阪府守口市にあるGSに勤務。人手不足で休日出勤するようになり、14年1月ごろから157日間休みなく働き、幻聴や体のしびれなどの症状が出た。同年7月にうつ病の診断を受けて休職したという。
大阪中央労働基準監督署は、同年6月の男性の時間外労働が107時間だったなどとして労災を認定し、休業補償の支給を決めた。しかし、この時間外労働は休日出勤時の労働時間を算入しておらず、賃金の8割とする休業補償額も休日出勤分が反映されなかった。
ネックとなったのは、男性がGS側に提示されて結んだ二つの労働契約だ。
男性は14年2月以降、GSを経営するA社から運営を委託されたB社と契約した社員だった。だが、その後にA社から直接雇用される契約も結び、休日出勤はこの契約で働く形にされた。労基署はB社の勤務での過労と認定したために、A社での給与が休業補償に反映されなかった。
男性側は「就労場所や業務内容、制服は全く同じで、両社は互いに長時間労働の実態を認識していた」として、2社を合わせた給与額に基づく補償額にすべきだと訴えている。一方、国側は9日の第1回口頭弁論で争う姿勢を示した。(畑宗太郎)
■休めば職を失うと…