厚生労働省が「毎月勤労統計」を不適切に調査していた問題が発覚したのは、厚労省の担当職員が総務省の統計委員会の打ち合わせで「東京以外の地域でも従業員500人以上の事業所について抽出調査を実施したい」と発言したことがきっかけだったことが11日、わかった。複数の関係者が明らかにした。
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厚労省と総務省の担当職員、統計委員会の西村清彦委員長らが昨年12月13日、次回の統計委員会開催について協議した。西村氏が毎月勤労統計の調査結果について、かねて正確性を疑問視する声が出ていることを踏まえ、詳細に分析する必要があるとし、次回委員会のテーマにする考えを示したという。
その時に厚労省職員から、従業員500人以上の事業所について東京都では抽出調査をしており、東京以外への拡大を計画しているとの発言があった。だが、本来、500人以上の大規模事業所はすべてを対象に調査すると定められている。
西村委員長はその場で、「抽出調査は重大なルール違反。統計の信頼性確保の観点からも危機的状況だ」と指摘。厚労、総務両省に早急に事実関係を確認するよう求めた。
根本匠厚労相は11日、調査結果を発表する予定だ。