神戸市中心部を一望できる六甲山麓(さんろく)の諏訪山公園ビーナスブリッジ(同市中央区)で、毎年1月17日早朝に開かれてきた阪神・淡路大震災の犠牲者を悼むつどいが、今年で終わる。街に響き渡る鎮魂のトランペット演奏で知られるが、催してきたメンバーが高齢化し、準備が難しくなった。
特集:阪神大震災
「早朝追悼のつどい」は震災翌年の1996年に始まった。毎年1月17日、地震発生時刻の午前5時46分に「神戸・希望の鐘」を鳴らし、参加者で黙禱(もくとう)。99年からトランペット奏者の松平晃(あきら)さん(76)=川崎市=が追悼の演奏をしてきた。
市民団体やNPO法人でつくる実行委員会で委員長を務める安田秋成(あきなり)さん(93)によると、「天国に一番近い場所で追悼しよう」と、標高約160メートルの山腹にあり、夜景の名所でもあるビーナスブリッジで始めたという。
近年は準備に携わるメンバーが亡くなったり、体調を崩したりして減ってきた。残るメンバーも高齢で、夜明け前に車を運転し、寒風が吹き付ける高台での準備作業が難しくなってきたという。
心臓病の手術を一昨年に受けた安田さんは「神戸の街並みが変わっても、亡くなった人の魂が迷わないよう、トランペットが引き寄せてくれると思って続けてきた。死ぬまでやろうと思っていたが、仕方がない」と話す。
毎年1月17日の日中に神戸市内で開いている「1・17市民追悼のつどい」は続けていくという。
■76歳のトランペット奏者「追…