全国のえびす神社の総本社、西宮神社(兵庫県西宮市)で10日朝、参拝の一番乗りを競う「福男選び」があった。商売繁盛を願う「十日えびす」にあわせた恒例の神事で、約5千人が参加。昨年7月の西日本豪雨で被災現場に出動したという広島県福山市の消防士、山本優希(ゆうき)さん(22)が「一番福」を手にした。
午前6時、「かいもーん」の号令とともに、参拝者がどっと境内へ。カーブが続く約230メートルの参道を全力疾走した。
山本さんは西日本豪雨の際、土砂崩れの現場で行方不明者を捜した。「当たり前と思っていた日常がどれだけ大切かわかった」と言う。今回、同僚に誘われて初参加し、スタート位置を決める抽選で最前列を引き当てた。「転びそうになったが、がむしゃらに走った。うれしい」と話した。
「二番福」は兵庫県西宮市のよしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑い芸人、伊丹祐貴(ゆうき)さん(30)。高校時代に陸上の1600メートルリレーで全国大会に出場。「M―1グランプリ」で昨年優勝した「霜降り明星」の粗品さんとは親友で「福男をとる」と宣言してきた。「笑いと福を届けられる芸人になりたい」と喜んだ。
「三番福」は同県加古川市の元信金職員、玉暉(たまき)活也さん(23)だった。現在、就職活動中で「昨年はついていなかったので、福を自分の手でつかみたかった」と話した。(崔埰寿、鷲田智憲)