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弁護士がウソの申請で住民票取得 自ら「違反でしょう」

第一東京弁護士会所属の男性弁護士(71)が、ウソの利用目的を記入した申請書を使い、福岡県に住む30代男性の住民票の写しを自治体から取得していたことがわかった。男性はこの弁護士への懲戒請求を申し立てていた。弁護士は朝日新聞の取材に対し、事実関係を認めた。


住民基本台帳法は、偽りなど不正な手段で住民票の写しの交付を受けることを禁じ、違反した場合は30万円以下の罰金が科される。弁護士は今回の取得について、「違反するでしょうね」との認識を示した。


男性側によると、弁護士は2017年2月、男性の住民票の写しを手に入れるため、業務で取得する際に必要な「職務上請求書」を福岡県内の自治体に提出。利用目的の欄には「遺産分割調停申立」と記入したが、男性が相続人となって遺産分割が行われる事実はなかったという。


弁護士は09年11月に発覚した島根女子大生殺害事件で、交通事故死した容疑者の別の事件で弁護人を務めた。その立場からテレビ局の取材に応じ、容疑者の印象などを語る様子が16年12月に放送された。番組を見た男性は、内容が「弁護人の守秘義務に違反するのでは」と考え、第一東京弁護士会に懲戒請求していた。


弁護士は取材に対し、住民票の写しの取得を認め、「懲戒請求をした人が事件と関係のない赤の他人だったので、どうして請求したのか分からず、身元を知りたかった。興信所に依頼したら大変な金がかかる。こちらにも防御権がある」と話した。


男性は、自治体に自身の個人情報に関する開示請求をする中で、弁護士が提出した職務上請求書の開示を受け、自身の住民票の写しが交付されたことを知ったという。18年10月に「プライバシーが侵害された」として、慰謝料など176万円の支払いを弁護士に求め、福岡地裁に提訴した。


第一東京弁護士会は「事実関係を把握していない。懲戒請求については、有無も含めてコメントできない」としている。(一條優太)


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