中国・遼寧省大連市の中級人民法院(地裁に相当)で、カナダ人男性の被告に死刑判決が出されたことについて、中国外務省の華春瑩副報道局長は15日の会見で、カナダのトルドー首相が中国を批判したことに対し「カナダ側の発言こそ、最低限の法治精神すら欠けている」と主張した。
中国でカナダ人に死刑判決 両国緊張の中、差し戻し直後
麻薬密輸罪に問われた被告をめぐっては、昨年11月に同法院が一度は懲役15年としたものの、昨年末に上級審が差し戻し、約半月後の14日の差し戻し審で死刑が言い渡された。カナダ当局による通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)幹部の逮捕で両国関係が悪化する中での極刑判決で、トルドー首相が同日、「中国が恣意(しい)的な死刑の適用を選んだ」と批判していた。
華氏は「カナダ側に、中国が恣意的な判決をしたと言う人がいるが、まったく違う」と主張。カナダ側の反応に「強烈な不満」を表明し、「法治を尊重するよう切に促す」と語った。一方、ファーウェイ幹部の逮捕について問われると、「司法手続きの濫用(らんよう)だ」「犯している重大な過ちに気付くことを望む。わかれば、すぐ改めることができる」と批判した。
中国メディアによると、カナダ人被告側は15日、判決を不服として上訴することを決めた。(瀋陽=平井良和)