大阪市の仲邑菫(なかむらすみれ)さん(9)が、小学5年生になる4月に史上最年少の満10歳でプロ入りする。正味のところ、彼女の現在の棋力、将来性はいかほどなのか。年をまたいで打たれた張栩名人(38)、井山裕太五冠(29)との対局を、トップ棋士が解説する。
「トップ棋士みたいな打ち方」
仲邑さんは5日の日本棋院理事会で、棋院の七大棋戦タイトルホルダーとナショナルチームのコーチ計6人全員の賛成を得て、無試験の「英才特別採用推薦棋士」として採用が決まった。
賛成者のひとり張名人は、先月13日、仲邑さんの力を見極めようと対局を申し込んだ。棋院は仲邑さん先番の手合を提案したが、名人は「本気で勝負したい」と、下手の仲邑さんがより有利な先番逆コミの手合で打った。
棋院内部にも秘密裏に打たれた対局に、元棋聖の副理事長、小林覚九段が記録係を買ってでた。初手からよく見られる進行だが、下手の応手を問うた名人の右下白10のカタツキに、仲邑さんは相手をせずに下辺黒11に構えた。
「この手を見て、うれしくなった」と小林九段。ふつうは黒12や14などと、上手に敬意を表して応じるが、黒11は「上手の手に振り回されないという宣言。センスがいい。こういう手を打たれると、トッププロはスイッチが入る。名人は『よし、やっつけてやろう』という気になったと思います」。
下辺白16の打ち込みは、難し…