まだあどけない小4の少女が4月、10歳で史上最年少のプロ棋士となる。従来の成績本位の試験手続きを一切省いた「英才特別採用」の第1号。囲碁界は古来、幼少の天才が順調に成長し、歴史を塗り替えてきた。平成最後のプロとなる少女は、新たな時代を切り開くか。
今月5日、大阪の小学4年生、仲邑菫(なかむらすみれ)さん(9)が東京の日本棋院の会見場に現れると、場内のカメラマンは一斉にレンズを下に向けた。団宏明理事長、小林覚副理事長、張栩名人、菫さんの父信也九段と一緒に入場。大人たちの胸に届くかどうかという身長124・5センチの少女が、この会見の主役だ。
「プロになった感想は?」「頑張ります」。「タイトルをいくつくらいまでに取りたいですか?」「中学生ちゅうです」。「将来どんな棋士になりたいですか?」「井山(裕太五冠)先生みたいになりたいです」
質問を受けると親と顔を見合わせ、ひそひそ声で相談する。はにかみながら何十秒も間を空け、親が助け舟を出すこともしばしばだった。
だが、盤上では張名人を相手に驚異のパフォーマンスを示した。先月13日、菫さんは名人との対局で棋力を試された。まだプロ入り前の少女と名人の手合としては、極めてハンディが軽い「先番逆コミ」で挑み、引き分けた。
「衝撃でした」と名人。「中盤…