子どもたちを夢中にさせる変身ヒーローの特撮「スーパー戦隊シリーズ」は1975年に始まり、現在もテレビ放送が続いている。男の子がメインターゲットの作品だが、女性戦士はほぼ全作品に在籍してきた。時代をへて変容してきたヒロインたちの描かれ方について、戦隊シリーズにおけるジェンダー観の変容を分析している香川大学の葛城浩一准教授(教育社会学)に聞いた。
ピンク戦士、今は戦いのプロ 敵はしぶといジェンダー観
――戦隊シリーズを通じて見えてくるものとは。
「テレビの特撮シリーズにはウルトラマンや仮面ライダーもありますが、どちらもテレビ放映されていなかった期間がけっこうある。対して、戦隊は40年にわたって続いている。また、仮面ライダーなどは男性像の変化はみてとれるが、戦隊には女性がほぼいつも在籍しており、世相を反映した、集団内における男女関係の変遷がみてとれる」
――大きな変化はどこで起きましたか。
「一番大きいのは、1985年の男女雇用機会均等法の時期でしょう。社会的に男女平等の意識が進んでいて、1984年(放送開始年、以下同)の『超電子バイオマン』で女性メンバーが2人に増員された。以来、3人編成の戦隊をのぞけば、女性2人体制がほぼ標準になった」
「それまでの女性1人の時代は、ピンク(桃色)の戦士です。第1作の『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)は主人公の1人として女性が戦うことだけで画期的な作品ですが、じつはモモレンジャーはけっこう強い。それが3作目の『バトルフィーバーJ』(1979年)以降からは、ピンクはいわゆるおしとやかな女性で5番目が定位置になっていく。『科学戦隊ダイナマン』(1983年)で比較的活発な女性が登場することはあっても、女性が1人しかいないので、どうしても描き方が画一化でした」
――どんな女性像ですか。
「男性に守られる保守的な女性のイメージです。授業でよく学生に見せるのは『大戦隊ゴーグルファイブ』(1982年)のエピソードですが、同じ爆発を受けても、女性だけがやけに弱っていて、男性たちが助ける描写です」
――ヒロインが2人になると、どう変わりましたか。
「多様性が出ました。ピンクに…