JR東京駅の丸の内北口にある「東京ステーションギャラリー」で、1月29日から「皇室と鉄道展」が始まりました。天皇陛下の在位30年を記念するもので、2月3日までの同展はすでに連日予約でいっぱい。入れない方のために、詳しく紹介します。
皇室の方々が使う駅に「貴賓室」が設けられていることをご存じでしょうか。主に国鉄時代、東京駅や京都駅、御用邸や皇室ゆかりの神社や陵墓の最寄り駅などに設けられ、いくつかは現存しています。「駅~知られざる貴賓室~」のコーナーでは、JR東日本管内の駅の貴賓室の写真パネルや、東京駅の貴賓室に飾られている横山大観の日本画など15点がずらりと並んでいます。
1914(大正3)年に完成した東京駅には、大正天皇、貞明皇后のための貴賓室が設けられ、「帝室用休憩所(便殿)」と呼ばれました。展示写真は白黒のため、色まではわかりませんが、背もたれなどに装飾を施した椅子がテーブルを挟んで二つ向かい合い、室内の装飾も豪華です。皇太子用の「竹の間」、各皇族用の「梅の間」も設けられました。しかし、45(昭和20)年の空襲で焼失。53(同28)年に一部の貴賓室が再建され、2012年秋に完了した駅舎の復元工事で再整備されました。
JR東日本などによると、現在の駅舎の貴賓室は、天皇、皇后両陛下のための「松の間」、皇太子ご一家や、皇居での信任状捧呈式に向かう各国大使が使う「竹の間」です。「梅の間」は駅の重要な会議を行う際に使用しているそうです。貴賓室の内部はこれまでも公開されておらず、復元工事完了時にJRを担当していた私も見たことはありません。ただ今回、その貴賓室につながるエントランスの写真パネルが公開されました。壁には鹿の彫刻が飾られており、上品な雰囲気です。エントランスの写真は過去にも公開したことがあるそうですが、貴重なものであることは間違いありません。
「松の間」に飾られている日本画の巨匠、横山大観の「富士に桜」(横1・43メートル、縦1・15メートル)も実物が展示されていました。まだ国鉄だった1953(昭和28)年に贈られたもので、謝礼を固辞する大観に、国鉄は清酒2本を届けたそうです。
このほか、昭和初期の京都駅の貴賓室や、明治に設置され、現存する日光駅の貴賓室の写真なども見ることができ、多くの方がこのコーナーで長く足を止めているようでした。
天皇や皇后、皇太后らが乗車す…