米シンクタンク「軍備管理協会」のダリル・キンボール会長
INF条約離脱、米が正式に宣言 軍拡競争進む恐れ
ロシアの条約違反に対抗するためとして、米国が条約を破棄するのは筋が通らない。破棄により、ロシアは新型巡航ミサイルを好きなだけ配備できることになる。破棄は欧州やアジアを舞台にしたミサイル配備競争へのドアを開くだろう。
米国は今も中国などの標的をとらえられる空中や海洋から発射する強力なミサイルを持っている。新たなミサイルのシステムは必要ではない。新ミサイルをどこに配備できるというのだ。日本や韓国でも反対が起き、受け入れ先を見つけるのは困難だ。配備されれば、中国も米国のミサイルを標的にした弾道ミサイルを増加させる。それはアジアでの軍拡競争の条件を整えることになる。問題は、配備されたミサイルが搭載するのが通常弾頭だったとしても、核弾頭も搭載できる能力があることだ。米国が「あなたの海軍基地を狙っているミサイルは通常弾頭だ」と言って中国が安心するわけがない。
不必要な新ミサイルによって中国の軍事力の更なる拡大に理由を与えることになる。米国は歴史的に(軍縮で)重要なリーダーだった。リーダー不在の状況に日本やドイツなどが新たな創意工夫で、穴を埋める必要が出てきたと考える。
米戦略国際問題研究所(CSIS)研究員のイアン・ウィリアムズ氏
離脱は正しい判断だ。ロシアはINF条約の順守に関心がない。北大西洋条約機構(NATO)に対してロシアの空海軍力は劣勢だ。ロシアとしては、地上発射型の中距離ミサイルの配備を望むのは必然だ。
一方で、歴史的に見て、ロシア…