米連邦準備制度理事会(FRB)は30日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、昨年末時点で2019年中に2回を見込んでいた利上げについて、19年内には実施しない可能性を示唆した。国債などの保有資産を減らし市場に流すお金の量を減らす政策も見直しを表明。15年末から続く利上げ局面の転換点となる。
FRBのパウエル議長は30日の記者会見で、中国や欧州の経済が減速していることや「進行中の通商交渉を巡る不確実性」などを挙げて「利上げを進める論拠がいくらか弱まった」と指摘。「ここ数カ月の累積的な動きを踏まえ、今後の金融政策の変化については、辛抱強く成り行きを見守ることが妥当だと決めた」と述べた。
FOMC終了後の声明では、従来の「いくらかのさらなる緩やかな利上げが、経済活動の安定的な拡大に見合う」との表現を削除。「政策金利の誘導目標をどう調整するか決めるに当たっては辛抱強くなるだろう」との文言を加えた。
FRBは17年10月から、リーマン・ショック後の異例の金融緩和からの「正常化」のため、保有資産の縮小を進めてきた。今回のFOMCでは、この資産縮小のペースについても見直すことを決めた。政策金利の誘導目標については、市場の予想通り、「年2・25~2・50%」で据え置いた。(ワシントン=青山直篤)