総務省は1日、所管する基幹統計「小売物価統計」で、新たに不正調査があったと発表した。調査員が実際は訪問していない店舗の架空の数値を虚偽報告したものを調査結果としてまとめていた。政府は「毎月勤労統計」の不正調査を受けた点検で最終的に23の基幹統計で問題があったと先月28日に公表した際、他は問題ないとしていたが、不正はさらに広がった。
西村康稔官房副長官は1日の記者会見で、「統計の信頼性を損なう事態が発生したことは誠に遺憾だ。検証しながら改善すべきは改善したい」と述べた。厚生労働省の不正調査に端を発した問題が、政府統計を統括する総務省にも拡大したことで、週明けの国会審議で野党の追及は必至だ。
小売物価統計は、全国約5万5千の小売店や飲食店、ホテルなどのモノや宿泊などの価格を、法定受託事務として都道府県が調査員を任命して毎月調べている。平均的な家庭が支払うモノやサービスの価格の動きを示し、安倍政権がデフレ脱却をめざすうえでの指標としている「消費者物価指数」の基礎資料だ。
今回明らかになった不正は大阪府の調査。1月28日夕、府から総務省に報告があった。総務省は基幹統計の点検結果を取りまとめ、同日夜に他省の点検漏れを発表したが、今回の不正は点検の「対象外」として発表しなかった。基幹統計の点検は、菅義偉官房長官が同月11日に各省庁に指示したが、点検内容は限定的だったことになり、実効性と信頼性が揺らいでいる。
府によると、不正をした調査員…