[PR]
不登校の子が学校以外の場で多様な学習をすることの重要性を盛り込んだ「教育機会確保法」が、完全施行されて2月で2年を迎える。不登校の子の教育機会の確保を国と自治体の責務とする内容だ。研修や人事交流などを通じて、各地でフリースクール(FS)などとの連携強化の模索が続いている。
京都府総合教育センターの教員研修で、話し合う教員と不登校を経験してフリースクールに通う生徒たち。校則の役割や「いまの学校に何ができるか」がテーマだった=2018年11月22日、京都府亀岡市、沢木香織撮影
昨年12月、京都府亀岡市のFS「学びの森」。「きょうは先生たちの本音をできるだけ聞きたい」。ここに通う高校生世代の生徒が、集まった教員に呼びかけ、議論が始まった。テーマは「新しい教育をつくり出せる生徒と先生の関係とは」。5人ほどの班に分かれ、自由に語り合った。
京都府総合教育センターが実施した2日間にわたる教員研修の一つだ。府内の小中高校の教員11人が、手を挙げて参加した。
「クラス替えはどういう視点で決めるの?」「なぜ雨の日しか教室でトランプしちゃいけないの?」。ある班では、生徒が学校生活で感じる疑問を話し合った。参加した小学校教諭の藤林靖子さん(27)は「安心できる場所では、子どもたちは自分の考えをしっかり話してくれると感じた。普段接する子どもたちも『自分を出して良い』と思えるような環境をつくりたい」と話した。
京都府総合教育センターの教員研修で、話し合う教員と不登校を経験してフリースクールに通う生徒たち。校則の役割や「いまの学校に何ができるか」がテーマだった=2018年11月22日、京都府亀岡市、沢木香織撮影
センターによると、FSでの教員研修は今回が初めて。教育機会確保法の成立を受けて、不登校を経験した子との対話を通して感じたことを学校現場で生かしてもらうのが狙いだ。
担当者によると、学校に来てほしいという教員側の思いを児童生徒がどう受け止めているのかわからないなど、教員も悩んできた。「学校にいると不登校傾向の子の本音の思いを聞くことがなかなかできない。教員にどんな対応をしてほしかったか、実際に話を聞くことができた」と話した。
先進地 神奈川の取り組み
公教育とFSの連携の先進地が神奈川県だ。
06年に県内の教委とFSが協…