埼玉県春日部市立中学校の体育祭で、綱引きで転んだ際に綱が目に当たり、その約1カ月後に右目を失明した元生徒(18)と親が、失明は学校側の対応が不十分だったためだとして、市に約4980万円の損害賠償を求めて提訴した。6日にさいたま地裁(岡部純子裁判長)で第1回口頭弁論があり、市側は「綱引きの指導や手当ては適切だった」と棄却を求めた。
訴状などによると、2015年5月30日、市立中3年だった男子生徒は体育祭の綱引きに参加。相手チームが勝って綱から手を離した際、原告の生徒ら数人がバランスを崩して倒れ、この生徒の右ほおから右目に綱が直撃した。生徒は同年6月28日に右目の視界が突然白くなり、その後失明したという。
生徒側は、学校がすぐに病院で受診させるなどの適切な処置をしなかったことが失明の原因と主張。転倒事故の防止対策も不十分で注意義務を怠ったと訴えている。
これに対し学校側は、事故と失明の因果関係は認められないと反論。教諭が生徒の視力を確かめるなどの手当てをし、事前に転倒を防ぐ指導もしていたと主張している。
現在高校3年で春から大学に進む元生徒は6日の口頭弁論後、「これから先、不自由があると思うと不安。真実を明らかにしてほしい」と話した。(高絢実)