山口県周南市で2016年、県立高校2年の男子生徒(当時17)が自殺し、いじめの有無を調べていた調査検証委員会は5日、報告書を公表した。LINEメッセージによる仲間外れなど、いじめがあったと認定し、自殺に影響があったと結論づけた。
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男子生徒は16年7月の未明、駅構内で貨物列車にはねられ死亡した。スマホに「オマエの荷物全部池に捨てる」「顧問に退部届けもらって」というメッセージが残っていた。
報告書などによると、テニス部に所属していた男子生徒は同月、野球部顧問に「助っ人」を頼まれて入部。テニス部の練習に十分参加できず、部のLINEグループから強制的に退会させられ、部室の荷物引き取りを求められた。
検証委はLINEの強制退会について「つながりを重視する現代の高校生にとって残酷な行為の一つ」として、いじめと認定した。
検証委は教職員らの聞き取りを実施。別の生徒から身体的特徴を揶揄(やゆ)したあだ名をつけられ、リボンを頭に付けられてスマホで撮影されるなど計18項目のいじめを認定した。教職員も野球部の雑用を押しつけるなど「いじめに類する行為」があったと指摘した。
そのうえで「教職員による十分な配慮と対応があれば、自死は防げた可能性があった」と指摘した。
県教委は16年8月に第三者委を設置し、17年11月に「いじめのみを自殺の要因と考えることはできない」とする報告書を公表。遺族が再調査を求め、検証委が調べていた。(井上怜、棚橋咲月)
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