トランプ米政権は8日、3月1日を期限とする米中通商協議で中国・北京に代表団を派遣し、14~15日に米側の交渉責任者である米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表が中国側と交渉すると正式発表した。これに先立ち、11日からは北京で次官級協議も開く。
ライトハイザー氏のほかムニューシン財務長官も訪中し、中国側は劉鶴(リウホー)副首相が同格の交渉担当者となる。協議の争点は、知的財産の侵害やサイバー攻撃など。米側はこうした「構造問題」の是正について、中国側が確実に履行しているということを継続的に検証する仕組みの導入を求めており、今回の協議でも大きな焦点となる。
トランプ米大統領は、習近平(シーチンピン)国家主席との会談までは「最後のディール(合意)はない」との立場を示している。1月末の劉氏との会見では、3月1日までの期限内に首脳会談を開く意向を示し、中国側への大幅な譲歩とみられていたが、7日に「(3月1日までに習氏とは)会わない」と軌道修正した。
ライトハイザー氏らは、3月2日以降の関税引き上げを交渉カードとして中国側に圧力をかける構え。ただ、関税引き上げは米経済への打撃も大きいだけに、交渉期限の延長や首脳会談の調整なども議題に上る可能性がある。(ワシントン=青山直篤)