理想的な便とは、行列になりにくいトイレとは――。長年、正しい排便の啓発やトイレ環境の改善に取り組む専門家が、最新事情を盛り込んだ新書「うんちはすごい」を出版した。刺激的なタイトルだが、現代人を悩ませる便秘の話から日本の技術力まで幅広く紹介しながら、人間の基本的な営み「排泄(はいせつ)」の大切さを明るく伝えようとしている。
出版したのは、NPO法人日本トイレ研究所代表理事の加藤篤さん(46)。「ウンコビッチ博士」を名乗って学校でユニークな出前授業をしたり、被災地に駆けつけて避難所のトイレを調べたり。「すべての人が気持ち良く排泄できる社会」を目指し、20年以上前から企業や行政、医療者とも連携して活動している。
かつて小学校で排便の大切さを話した後、不意に児童にしがみつかれた。後で、「便をもらしていじめられた子」だったと知った。4年前に古い公衆トイレを調査中、個室の床に倒れて起き上がれず、全身ぐしょぬれだった70代男性を救った経験もある。
「排泄は、命に関わる大切な行為。なのに恥ずかしいからと隠され、『問題なし』とされがちなんです」
だからこそ情報や課題をオープ…