「長生きしても老後が心配」「幸せな老後を迎えられる気がしない」。LGBTなどの性的少数派だという人たちが、ツイッターでそんな声をあげている。
【特集】SNSで声集め、深掘り取材…#ニュース4U
店員、みな口々に不安
飲食店がひしめく大阪・北新地の路地=2018年12月6日、大阪市北区、高橋大作撮影
当事者の不安を直接聞こうと、まず大阪・北新地のラウンジ「カマNベール」へ行ってみた。店員として働く10人は男性の体で生まれ女性として生きている。
「私たちが切実に心配しているのは、老後よ、老後」。4~5人の店員に囲まれて話を聞くと、みな口々に不安を訴えた。
夜の街で働き始めて
ショーに出る梅宮望愛(みちる)さん(右から2人目)=2006年ごろ、大阪市内、本人提供(画像を一部加工しています)
40代の梅宮望愛(みちる)さんに後日、大阪・西天満のレストランで改めて話を聞いた。18歳で女性として生きることを決意。両親に内緒で夜の街でショーガールとして働き始めた。お金をためて29歳で性別適合手術を受け、30代半ばで戸籍を女性に変えた。時間がかかったが、親も自分の性を受け入れてくれた。
ホルモン注射、保険の「リスク」に
大阪・北新地のラウンジで後輩と話す梅宮望愛さん(左)=2018年12月3日、大阪市北区、滝沢美穂子撮影
最近、70代になった母親を見て、自分の老後を現実的に想像するという。不安なのは、例えば保険のこと。若いころ一刻も早く性別適合手術を受けたくて、国民健康保険の保険料などを支払っていなかった時期があった。「同じ業界の先輩から、いざというときに困るから払いなさいと言われました。私たちは保険に入るのも難しいよ、って」
LGBTの切実な声、現場を訪ねた
介護を受ける立場になったら、どんなサービスを受けられるのか。私を介護するのは男性なのか女性なのか……。LGBT当事者が口にした悩みは、日本の将来の課題である孤独社会の問題と重なっていました。LGBTの老後を考える団体や、ライフプラン講座を記者が取材しました。
店の同僚の1人は生命保険の加…