私的な損失を日産自動車に付け替えるなどしたとして会社法違反(特別背任)などの罪で起訴された同社の前会長カルロス・ゴーン被告(64)について、東京地裁は5日、保釈を認める決定を出した。保釈保証金は10億円。住居に監視カメラを設けることやインターネットへの接続禁止が条件とされた。東京地検はこの決定を不服として同日、地裁に準抗告を申し立てたが、地裁は棄却した。前会長が保釈金を納付すれば、6日にも東京拘置所から保釈される。
ゴーン前会長の勾留は、昨年11月19日の最初の逮捕から5日で107日目。前会長は一貫して起訴内容を否認してきた。東京地検特捜部の否認事件で、裁判の争点や証拠を絞り込む公判前整理手続きの前に保釈が認められるのは異例だ。
ゴーン前会長が金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)と特別背任の罪で1月に追起訴された後、弁護人だった元東京地検特捜部長の大鶴基成弁護士は2度にわたって保釈請求したが、地裁は却下した。新たに弘中惇一郎弁護士らが2月13日に弁護人に就いた後、同28日に3回目の保釈請求を出していた。
弘中氏によると、弁護側は保釈の条件として、住居への監視カメラの設置などを提案。地裁の保釈許可決定では、住居は東京都内として、出入り口に監視カメラを設置することが条件とされた。録画した映像を裁判所に定期的に提供するほか、携帯電話もメールの送受信などを禁止。海外への渡航もできず、旅券を弁護人が保管することも定められた。
ともに金商法違反の罪で起訴さ…