政府は8日、東日本大震災の復興の基本方針を見直し、閣議決定した。2021年3月に復興庁が廃止されても復興事業が終わらないことから、「復興を成し遂げるための組織を置く」と、後継組織の立ち上げを初めて明記した。ほかの災害の復旧・復興なども担わせることを検討し、具体的な組織像を7月の参院選後に示す考えだ。
安倍晋三首相は閣議に先立つ復興推進会議と原子力災害対策本部会議の合同会合で「政治の責任のもとで組織の具体化を進めてほしい」と指示した。
政府関係者によると、新復興庁は内閣府の外局として21年4月に新設し、担当相も置く。南海トラフ地震など将来の大災害にも備えるため、設置期限のない「常設」の組織とし、東日本大震災以外の災害対応を担う内閣府の防災担当の部署を統合させる方向で検討が進む。
基本方針には、復興の各事業の効果を検証することも明記した。政府が震災後10年で投じる復興予算は総額32兆円。21年度以降の予算規模はこの検証などを踏まえて決める。
また、21年度以降も被災地で必要な事業として、基本方針には土地のかさ上げなどの津波対策工事や、災害公営住宅の家賃の補助や新たにできたコミュニティーの見守り活動、産業やなりわいを再生させるための補助事業などが盛り込まれた。(編集委員・大月規義)