老朽化や自然災害の被害などに悩む全国の旧軍用墓地について、国は年間300万円程度だった補修費を新年度から今後5年間で5億円程度に増額する方針を固めた。今後、全国44カ所ある墓地の具体的な補修計画について、地元自治体と協議する。
大阪市によると、昨年9月の台風21号で大きな被害を受けた、全国最大規模とされる同市の真田山陸軍墓地(天王寺区)から、先行的に補修作業に取りかかる見通しだ。
全国の旧軍用墓地を所有する財務省によると、自治体に売り払ったり譲与したりしたものなどを除くと現在、全国で44カ所ある。多くは自治体が無償で借り受けている。老朽化が進み、台風などの自然災害で損傷したままの場所もあり、一部では維持管理の問題が浮上している。
同省が戦没者慰霊を担当する厚労省と共同で昨年10~12月に調査したところ、補修が必要な墓地が一定数見つかったという。国は補修費として5年間で5億円程度を見込み、一部を新年度予算に組み入れる方針。財務省の担当者は「台風21号の被害や自治体からの要望、国の調査結果も受けて、対応に乗り出した」と説明する。
大阪市の真田山陸軍墓地は老朽…