イランのロハニ大統領は11日、2013年の大統領就任後初めてイラクを訪れ、バグダッドでアブドルマハディ首相らと会談した。米軍が駐留するイラクとの関係を強め、核合意の離脱で対イラン制裁を再開したトランプ米政権を牽制(けんせい)する狙いだとみられる。
ロハニ師は会談で「米国が不正な制裁をイランに科している今こそ(米国に)立ち向かうため、両国関係を発展させる必要がある」と強調。「過激派組織『イスラム国』(IS)対策や復興についてイラク政府を支える」と述べ、エネルギーや鉄道建設、金融関係などの分野で協力関係を強める姿勢を明らかにした。
ロハニ師は3日間の訪問中、イラクのシーア派指導者らとも会談する予定で、米国に向けてシーア派の結束をアピールする考えもあるとみられる。
イランメディアによると、両国間の貿易額は年間で約120億ドル(約1兆3300億円)。イランにとって、イラクは乗用車や食料といった原油以外の輸出先としては、中国をしのぐ最大の貿易相手国(昨年3月~11月)になった。
イランは昨年8月以降、米国の経済制裁が再開され、経済の屋台骨の原油が制裁対象になるなど、物価高や現地通貨の急落に苦しむ。首脳外交を通じてイラクとの関係を強め、米制裁の抜け道として活用する考えもあるとみられている。
一方のイラクもエネルギー不足…