パレスチナ自治政府のアッバス議長は、自治政府の主流派組織ファタハ高官のムハンマド・シュタイエ氏を新首相に任命した。シュタイエ氏はアッバス氏の側近で、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスには批判的とされる。ファタハとハマスの分裂状態を解消し、統一政府樹立をめざす和解交渉はいっそう難航する可能性がある。
米、事実上のパレスチナ代表部をイスラエル大使館に統合
任命は10日。今年1月末にアッバス氏に辞表を提出したハムダラ前首相は、ハマスとの和解交渉を主導したが、18年3月にガザ地区を訪れた際、自らの車列を狙った爆発事件が起きたこともあり、和解交渉は停滞している。
シュタイエ氏は以前、イスラエルとの和平交渉を担当したが、イスラエル寄りのトランプ米政権は、在イスラエル米大使館をエルサレムに移し、パレスチナへの支援を大幅に削減するなど圧力を強めている。パレスチナは米国が仲介するイスラエルとの和平交渉を拒否し、米国が近く示すとみられる和平案にも応じない構えを見せている。(エルサレム=渡辺丘)