インドネシア初の地下鉄部分を含む都市高速鉄道(MRT)が首都ジャカルタで3月下旬に開通するのを前に市民らの試乗が12日に始まった。一部の工事が終わらず、開業日や運賃も定まっていない「見切り発車」だが、4月の大統領選で再選を目指すジョコ大統領が実績としてアピールする狙いがあるとみられる。
「ジャカルタの人々が公共交通機関を広く利用する転機としたい」。州営MRTジャカルタのウィリアム社長は12日、記者会見で意気込んだ。ジャカルタは深刻な渋滞で有名だ。同社はMRTの良さを市民に感じてもらおうと28万人を対象に無料の試乗を始めた。
2013年に着工し、工事から車両、運行管理まで日本が支援している。次男(5)と試乗した会社員のムハンマド・イルファンさん(40)は「近代的で清潔で、時間通り。ジャカルタ市民がずっと待ち望んでいた乗り物だ」と語った。
ただ、課題もある。中心部を南北に結ぶ第1区間15・7キロの開業日はいまだに「3月24~31日」と発表されたままで決まっていない。運賃も同社が10キロごとに8500~1万ルピア(約66~約78円)と提案するが、政府と国会の間でもめている。ウィリアム氏は、駅のエスカレーターなど一部施設が安全面からまだ動かせないと説明。一部駅の出入り口の工事も遅れている。
それでも開業を延期しないのは4月17日投開票の大統領選までに間に合わせたいためとされる。ジョコ氏は選挙戦で自らのインフラ整備の成果を誇っている。今月も、スマトラ島で高速道路や空港の新ターミナル開所に自ら出向いた。
ジャカルタ州知事時代から推進…