大阪の街中で、アウトドア気分を楽しめる場所が増え人気を集めている。仕事帰りにふらりとたき火を囲んでみたり、キャンプ場のような居酒屋で非日常を味わってみたり……。せわしない都会生活での疲れを癒やす手軽な「オアシス」になっている。
大阪市西区の中之島GATEサウスピアにある、「焚火(たきび)屋火火(びび)」。中之島や本町のオフィス街からも近く、タワーマンションやオフィスビル群の夜景をバックに、たき火を楽しむことができる。元々は駐車場などに利用されていた空き地に、7台のたき火台を設置。薪や火箸などの道具が用意され、手ぶらで参加できる。素人には難しい着火もスタッフが手伝ってくれる。一緒に楽しむ仲間が見つからなくても、他の利用者と同じたき火を囲む相席スペースが用意され、薪がはじける音に耳を傾け、揺れる炎を見つめていると、初対面同士でも自然と会話の輪が広がってゆく。
客のほとんどはアウトドア未経験者。同僚と仕事帰りに参加した渡辺麻奈美さん(28)は、「手軽に気分が味わえて楽しい。インスタ映えするのもいい」と魅力を話した。
オーナーの建部彰一さん(52)は、10年以上前からたき火をする会を主宰してきた。当初は仲間うちの集まりだったが、たき火の様子をSNSで投稿し始めると、参加希望者が徐々に増え、200人程度だったフォロワー数も今では1千人を超える。だが、郊外のキャンプ場までの移動手段が無い、泊まりがけで参加する時間は無い、などの声も多く、身近にたき火を囲める場所を作りたいと、昨年11月にこの場所を開いた。
営業は週末や祝日などの午後5時から11時で、基本料金は1人3千円(中高生1千円、小学生以下無料、午後9時以降は1500円、5人までの貸し切り席は別途4千円)。
たき火以外にも、街中でアウトドア気分を味わえる店や体験は増えている。
大阪市福島区の肉料理店「pit master VAMOS」の店舗2階には人工芝が広がり、並んだテントやハンモックがキャンプ気分を盛り上げる。野趣あふれる料理が盛られるのは紙皿で、乾杯するのも使い捨てのプラスチックコップという徹底ぶり。職場の飲み会で利用していた土井翔悟さん(30)は「いつもより、上司と砕けた会話ができた」と笑顔を見せていた。
仕事の前にアウトドア体験を楽…