政府は19日、中央省庁での障害者雇用数の水増し問題を受けて議論してきた障害者雇用促進法の改正案を閣議決定した。国や自治体で算定が適切かどうかチェックする機能の強化と、民間企業で障害者の雇用を促進するための支援策が柱だ。今の国会に提出し、成立を図る。一部を除き来年4月に施行する予定だ。
水増し問題では、本来は法定雇用率に算入できない人をカウントしていた事例が多数あった。このため、具体的な確認方法を省令に明記し、確認に用いた障害者手帳の写しなどの書類の保存も義務づける。運用が適切かどうかチェックするため、厚生労働相に他省庁や自治体への調査権限をもたせる。適正な実施を求めて勧告もできるようにする。
民間企業向けでは、週10~20時間の短時間で働く障害者への特例の給付金の制度をつくる。従来は20時間以上が対象だが、精神障害者を中心に短い勤務ならばできるという要望に対応する。また、中小企業での障害者雇用を後押しするために、積極的に障害者を採用している企業を認定する制度も新設する。認定はポイント制とし、職場環境や処遇改善などの評価項目を定め、一定の点数を満たした中小企業を認定する。
政府はこの日、関係閣僚会議も開き、国の機関が法定雇用率を達成できなかった場合に各省庁の予算を不足1人当たり年60万円を減らすことも正式に決めた。各省庁の官房長らを障害者雇用推進者に選び、達成状況を人事評価に反映させることも決めた。(松浦祐子)
障害者雇用促進法改正案の主な内容
【中央省庁・自治体向け】
・率先して障害者を雇うことを明記
・法定雇用率に算入できる障害者の確認方法を省令に明記
・確認に用いた書類の保存を義務化
・厚生労働相とハローワーク所長にほかの省庁や自治体への調査権限を付与
・障害者雇用推進者の選任の義務化
・障害者に対応する相談員の選任の義務化
・障害者を解雇した際のハローワークへの届け出義務化
・厚労相に他省庁などへの勧告権限を付与
・「障害者活躍推進計画」の策定と公表の義務化
【民間企業向け】
・週10~20時間で働く障害者向けの給付金制度を新設
・障害者雇用に積極的な中小企業を認定する制度を新設