北海道開発局の工事をめぐる汚職事件などで受刑した鈴木宗男・元衆院議員(71)=新党大地代表=が裁判のやり直しを求めた再審請求について、東京地裁は20日、請求を棄却する決定を出した。判決確定後に、証人尋問を控えた贈賄業者に検察が想定問答集を渡していたことが発覚したが、家令和典裁判長は「尋問シナリオをもとに虚偽の証言をさせた合理的な疑いが直ちに生じるとはいえない」と判断した。
鈴木氏は①1997~98年、道内の建設業者から工事受注を頼まれて計600万円を受け取った(受託収賄罪)②98年、道内の製材業者から林野庁への口利きを頼まれ、500万円を受け取った(あっせん収賄罪)――などとして2002年に東京地検特捜部に逮捕・起訴された。
一貫して無罪を主張したが、贈賄業者や林野庁の職員らが法廷で「賄賂の受け渡し」や「口利き」を証言。一審・東京地裁で04年に懲役2年追徴金1100万円の判決を受け、10年に最高裁で確定した。弁護団はその後、①②の贈賄業者に検察が渡していた証人尋問の想定問答集を入手し、証言の信用性が崩れたとして12年に再審請求した。
東京地裁の決定は①の想定問答集について、検察は「証人と綿密な準備をした」としつつ、確定判決が「動かしがたい事実」と認めた受注希望の工事リストの証明力を疑わせる新証拠にはならないと指摘。②については、証人が想定問答集に忠実に証言しているわけではないと判断した。(阿部峻介)