大リーグでイチローが成し遂げた一番の偉業は何か。米野球界に定着していた「日本の野手は通用しない」という先入観を壊したことではないだろうか。
【写真特集】イチローの歩み オリックスから世界へ
【特集】イチローの歩み
米国では優れた野手を「5ツール・プレーヤー」と呼ぶ。①打率②長打③走塁④送球⑤守備の5項目で秀でている選手だ。イチローは唯一、「長打」が該当しない。18年前、「パワー不足」と多くの米関係者がイチローの活躍を疑問視した点でもある。
イチローがデビューした2001年にアスレチックスでア・リーグ最多の21勝を挙げた左投手のマーク・マルダーも懐疑的だった。数年前、あらためてイチローの第一印象を聞くと「オープン戦でスイングを見たときは『そんなもんか』ぐらい」。
印象はシーズンで一変したという。同年の対戦成績は13打数6安打、打率4割6分2厘。「アウトを取れなかった。最後の方は真ん中に直球を投げて、打球が野手の正面を突くのを願うのみ」とお手上げだった。
打ち取った打席を鮮明に記憶し…