まばたきするのも惜しい。席から身を乗り出すように、見入っていた。大リーグ・マリナーズのイチロー外野手(45)にとって、引退試合となった21日、東京ドームでのアスレチックス戦。19年前、イチローの大リーグ挑戦に際し、マリナーズへの入団交渉を担当したスカウトのテッド・ハイドさん(63)は、最後の最後まで、スタンドから背番号51の姿を追い続けた。
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【特集】イチローの歩み
イチローが現役引退「大変幸せ」 28年で4367安打
「私と妻にとって、イチローさんは息子みたいなものです」。そう語るハイドさんが、初めてイチローのプレーを日本で見たのは1997年。強烈な印象が残っている。「足が速い。肩が強い。動き自体が違った。陸上選手が、野球をやっている感じ」。右翼手なのに、通常なら中堅手の守備範囲まで守っていた。
ハイドさんは、大学卒業後にモルモン教の布教活動で日本を訪れたことがあり、日本語に堪能だ。2001年、イチローのマリナーズ入団後は通訳も任された。「レンジャーズのホームでの試合で、イチローさんが九回に逆転本塁打を打ったんです。試合後、シアトルのラジオ局のインタビューで、私は間違えて『サヨナラホームラン』って言ってしまった。イチローさんは『サヨナラじゃないよ。逆転でしょ』って。それがラジオで流れてね」。思い出は尽きない。
身長180センチ、体重79キ…