昨夏の地方大会でまさかの初戦敗退を喫した埼玉の強豪・春日部共栄が屈辱をバネに甲子園に戻ってきた。23日にあった初戦、高松商(香川)に0―8と完敗したが、全国の舞台で見つけた課題に再び挑む。
ニュースや動画をリアルタイムで!「バーチャル高校野球」
昨夏の敗戦は衝撃的だった。前年まで2年連続で埼玉大会4強、1993年の全国選手権では準優勝の実績を持つ春日部共栄が、7月13日の初戦で姿を消した。半年以上経った今でも「試合のビデオを見ることができない」(佐藤充彦部長)ほどのショックだった。
翌日から始動した新チーム。全員で話し合って掲げたのは「打ち勝つ野球」だ。敗れた試合で、放った安打は4本だけ。打てずに涙をのんだ先輩の姿を忘れられなかった。猛暑の中、素振りにティー打撃。1日約1千スイングを繰り返してきた。
効果は、秋の大会で表れた。関東大会準々決勝の横浜(神奈川)戦では、今選抜大会でも注目の相手エースを本塁打2本などで打ち崩し、コールド勝ちを収めた。
チーム発足から約半年間は、毎日主将が交代する「日替わり主将」も採り入れた。同校では初の試みだ。植竹幸一監督は「主将の責任感を一人一人に自覚してほしかった」。こうした努力が実を結び、チームは関東大会で準優勝。22年ぶりの選抜大会出場を果たした。
甲子園は再び試練の場となった。好投手相手に4安打、そして13三振を喫した。それでも、今は屈辱からはい上がった経験が心を支える。日替わり主将を経てリーダーに据えられた石崎聖太郎主将(3年)は「打撃などすべてを鍛え直してまた戻ってきたい」と前を向いた。(米田悠一郎)