(16日、高校野球 浦和学院6-0二松学舎大付)
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スタンドに傘の花が咲いた。時折強くなる雨と風。ともすると集中力を欠くような状況の中で、浦和学院の左打者が相手左腕をきっちり攻略した。
先発に7人の左打者をそろえる浦和学院に対し、当然、相手は左腕海老原をぶつけてくる。試合前の指示は、海老原は外角球が多い、それを素直に打ち返せ、だ。しかも、右翼から左翼へ強く吹く浜風のおかげで、中堅から左への打球は伸びる、伸びる。
三回、1死一塁で1番の中前(なかまえ)。小学校の頃から「中前のセンター前!」といじられてきた左打者の身上は言うまでもなくセンター返し。外角寄りの高めの直球を左中間へ。先制の適時三塁打。続く矢野も真ん中に入ってくる直球を中堅前へ。「スライダーが全然ストライクになっていなかったので、待ったのは直球一本。投手の足元を狙う打撃はチームで徹底されています」。矢野は五回に中前適時打、六回には中犠飛で計3打点。すべて中堅返し。
左対左は打者不利の金言通り、浦和学院打線も以前は左投手に手を焼いた。6月の二松学舎大付との練習試合では海老原に抑えられたし、「昨秋から左にやられてばかり」と中前は振り返る。これではいかんと、左投手の緩い球を足元に打ち返す練習を重ねた。軸をしっかり保たないと、強い打球が打てない。成果は序盤から表れ、海老原を4回で降板させた。
32年ぶりの8強入り。長身右腕渡辺の完封勝ちもあり、投打になかなか充実している。(堀川貴弘)