就職活動などでマナーの一部とされることも多い、ヒールが高いパンプス。だが女性が職場で強いられる風潮に疑問を投げかける動きが相次ぐ。共感は広がるのか。
「#KuToo」に込めた思い パンプス強制の職場に疑問
2月中旬、東京都内で開かれた合同企業説明会。女子学生の大半はヒール付きのパンプスを履いていた。宮城県から来た女子大学生(22)は「就職セミナーでも靴屋でも薦められたので買った。疲れるけど、身だしなみを気にする企業もあるようなので仕方ない」と話す。
採用に影響するのか。説明会に参加した企業9社の採用担当者に聞いてみると、8社は「採否に影響しない」と回答。人材派遣会社の男性(27)は「ヒール一つで何も影響しない。むしろ、ぼろぼろの靴を履いていないか、といった清潔感の方が大切だ」と話す。唯一、影響すると答えた就職支援企業の30代男性は「空気を読めるか、その場にあった服装を選べるかという点で、女性のヒールも見るポイントだ」という。
着用を求められる職場もある。俳優でライターの石川優実さん(32)は、昨年4月に葬儀社専門の派遣会社に登録。派遣元から、高さ5センチほどのヒールのパンプスを履くよう求められた。「男性社員はヒールがなく歩きやすそう。仕事にやりがいを感じるからこそ、靴を理由にやめたくない。性別によって、望んでいないことを強制されるのは性差別だと思う」
そんな思いを今年1月、ツイッターに投稿したところ、3万回以上リツイートされた。「靴」「苦痛」と、セクハラを告発した「#MeToo」の三つを組み合わせた「#KuToo」というハッシュタグも生まれ、2月にはネット署名も始めた。すでに1万7千件を超える賛同が集まっている。
「手抜きと思っていた」男性がパンプス体験
男性からの問題提起も。IT企業「ベルフェイス」の人事広報担当、西島悠蔵さん(31)は、1日ヒールを履いて仕事をした。
きっかけは、女性社員がヒール…