国土交通省は29日、パイロットの新たな疲労管理基準を公表した。勤務終了から次の勤務までに最低10時間の休憩を義務づける「勤務間インターバル」を導入する。航空需要の増加でパイロット不足が進む中、疲労による事故やインシデントを防ぐ狙いがあり、今後、通達を改正して航空各社に適用を求めていく。
日本の基準ではこれまで、おもに24時間ごとの乗務時間の上限と、7日間ごとに休日を1日とるといった定めしかなかったが、これを改める。深夜早朝に勤務する場合は休憩時間をさらに追加し、時差運航を考慮した休みも求める。
国内便は8時間、国際便は12時間だったパイロット2人の場合の上限乗務時間も原則10時間に統一。3回以上の飛行や深夜早朝勤務のある場合は、さらに上限時間を厳しくする。制限のなかった3人や4人態勢での上限時間は、それぞれ15時間と17時間にする。
パイロットの疲労に関しては、2009年に米ニューヨーク州でコルガン・エア機が墜落し乗客乗員ら50人が死亡した事故では、睡眠不足の影響が指摘された。その後も、台湾やカナダの航空会社でも疲労の影響による事故が発生。米国ではコルガン機の事故後、離着陸回数や勤務時間帯を考慮し、乗務時間の上限を厳しくした。(贄川俊)