花見シーズンの到来だ。時代ごとに人は、桜へ様々なイメージを託してきた。そして平成が幕を閉じる。咲いては散る薄紅の花びらに、次の世では何を思い描くのか。
花冷えの30日、東京都立井の頭公園では、ブルーシートを広げて仲間とお酒を楽しんだり、スマホのカメラをかざしたりする人たちがいた。
大学時代の友人とお花見をしていた好井崇博さん(27)は、桜について「学生の時は卒業を思い浮かべたけれど、社会人になると事業年度の始まりや出会いといったイメージかな」。
友人らと楽しんでいた西山恭子さん(27)にとっては「ぱっと咲いてぱっと散る、はかない感じ」。開花、満開、桜前線などとことさら気にするのは、限られた間しか楽しめないからだと思う。「桜に特別さを覚えるのは、四季のある日本特有の感覚かも」
大正ごろから別格
歴史を振り返ると、庶民を含めて集団で飲食を伴いながら桜に親しむようになるのは、江戸時代からだと言われる。明治の頃は陽気で開放的な花というイメージが強かったが、鑑賞の対象としては、梅やつつじなど数ある花のうちの一つに過ぎなかった。
それが大正ごろから別格になっ…